
国立故宮博物院は、2025年の創立100周年を迎えるのを前に、昨年(2024)年、台北の本院(北院)で人気企画展「大美不言」を開催しました。この展覧会は今年1月、中南部・嘉義にある南院(南部院区)へと移りました。
南院では「鎮院三宝(故宮博物院の三つの宝物)」が展示されるのは初めてです。展示は、従来外部で「タオルを掛けているような展示」と揶揄された方法ではなく、新たな形で披露されています。
国立故宮博物院の蕭宗煌・院長は、故宮博物院の台湾への移転は四つの段階を経て、すでに四世代に影響を与えてきたと述べました。
第1段階は1925年から1948年までの創設・移転の始まりの時期
第2段階は1949年から1965年までの北溝時期
1950年から1965年までの間、国立故宮博物院は台湾に移転した後、その貴重な文物を中部・台中霧峰の北溝地区に保管していました。
この時期、故宮は簡素な環境の中で、文物の保存・研究・出版・小規模な展示を行い、のちに台北・外双渓での再開館と観光発展の基礎を築きました。
文物の移送については、国共内戦が激化する中、1949年初めから順次台湾へ運ばれ、当初は台中の製糖工場に一時的に保管されていました。
1950年、霧峰北溝に文物専用の収蔵庫が完成し、すべての文物がそこに移されました。
また、空襲に備えて1953年には倉庫近くの山の中に防空壕を兼ねた文物保護用の洞窟が掘られ、さらに1956年には北溝展示室が完成して一般公開が始まりました。
これらの取り組みは、戦後の困難な時期における文化財保護の象徴であり、今日の故宮博物院の発展の礎となった重要な歴史の一章といえます。
第3段階は1965年から2000年までの発展期
そして第4段階は2000年以降の転換期です。
蕭・院長は、第4段階に入って活躍する現在の第4世代の職員たちは、先輩たちの努力の上に立ちながらも、もはや第1段階の経験とは直接つながっておらず、書物や伝承によってしか知ることができないと述べ、思考の面では完全に新しい博物館の時代に入っていると語りました。
展覧会については、10月の創立記念月間にあわせ、台北の本院(本館)と嘉義の南院で特別展「甲子萬年」を同時開催し、故宮の歴史と発展の歩みを紹介します。
見どころは、故宮博物院を代表する三大名画――
一、山水画の名家、范寬の「谿山行旅図」。北宋初期に描かれた「谿山行旅図」は巨碑式山水画の最良の模範だと言えます。
この作品の構図は三段に分かれており、下方の巨石の辺りが近景、ロバの隊列が見える箇所が中景で、遠景には高々と聳え立つ主山が描かれています。山の中腹下方に余白を生かした雲霧が漂い、空間の奥行きが効果的に表現されています。
二、郭熙の「早春図」
郭熙は北宋の宮廷画家であり、絵画の理論家でもあります。郭熙が1072年に描いた「早春図」は、郭熙の現存作品中、最も名高い山水画の大作です。この絵には降り積もった雪が溶け、大地が甦る初春の風景が描かれています。実体のある山河や樹木、建築物と、一定の形のない漂う雲気や緩やかに流れるせせらぎもあります。寒暖差の不安定な初春に、あらゆる場所に若々しい生命力や活力が満ちあふれている1ページがここに残されており、そこに行き、眺め、遊び、暮らすことができる理想の山水が見事に描写されています。
三、李唐の「万壑松風図」。
北宋末期から南宋にかけて活躍した画家・李唐が描いた絹本(けんぽん)の軸装の山水画で、北宋の山水画と南宋の山水画の粋を集めた傑作とされています。軸装(じくそう)とは、書画を掛け軸の形に仕上げることで、山水画は山や河水などの自然の風景を描いた絵画のことです。
さらに、年間を通じて漫画や専門書などの出版物も展開し、百年の軌跡を振り返ります。
蕭・院長によりますと、これまで三大名画は北院で展示されてきましたが、展示室の高さに制限があり、上下を巻いた状態でしか展示できず、「タオルを掛けているようだ」と揶揄されることもありました。
しかし、天井の高い南院で展示すれば作品を完全な形で公開でき、文化財の魅力をより引き立てることができると説明しました。これが現在、北院で展示室の改修を進めている理由でもあり、3メートルを超える大型の文物が100点以上あるため、改修後にはその全貌を展示できるようになるとしています。
また、故宮博物院の余佩瑾・副院長は、北院で開催される「甲子萬念」展では、「北魏釈迦牟尼仏坐像」と「絹本著色観音曼荼羅図」という2点の重要文化財を展示すると紹介しました。
故宮博物院の創設記念シリーズ特別展の3つのキーワードについて、余・副院長は、「目を見張るような展覧会のカーニバル」、「文物を通して語る故宮の成長の物語」、「国際協力展による世界との対話の力」とまとめました。
国際交流の面では、2025年9月から12月にかけて、故宮博物院の文物が初めてチェコへ渡り、プラハ国立博物館で特別展「故宮文物百選およびその物語」が開催され、「翠玉白菜」や「清明上河図」など約100点の名品が展示されています。
さらに2025年11月から2026年3月にかけては、フランス・パリのケ・ブランリ美術館と協力し、「龍展」を開催する予定です。
(編集:王淑卿)
















